SONY TR-72は昭和30年代のAMラジオです。
当時のSONYは東京通信工業という名前で
昭和30年12月に¥23,900-で販売が開始されました。
最初期モデルはプレートの刻印が東京通信工業となっていましたが
このモデルは初期型の中期モデルでSONYへ変更されています。
後期型はシリアル30000以降で基板やトランスが変更になっています。
私の感覚ですが、今見てもデザインがとても良く見えます。
桜の木を使用したキャビネット
今は無いSONYのロゴマーク
キラッと光る真鍮製のハンドルやプレート
パンチングメタルのネット
縦横厚み等のバランスも良く見えますし
ロゴマークの下を下げているデザインが抜群に見た目を良くしているように感じます。
当時の大学卒の初任給は¥12,000-程度だと思いますので
今考えると 当時 とてつもなく高額なラジオです...。
裏蓋の真ん中あたりにある革バンドを引っ張ると裏蓋が開き
電池ケース、イヤフォンジャック、延長アンテナ線の差し込みができます。
左はスイッチ付きのボリューム 右は選択ダイヤル
ハンドルの金具も真鍮製でデザインされています。
置物としても なかなか味わいがあって良い感じです。
ある程度メンテナンスがされている状態のものなので動作します。
基板にOCSコイル1つとIFトランスが3つあるので
これらを弄りもう少し感度を上げてみます。
金属製のドライバーを使用すると、近づけるだけで反応してしまうので
割り箸の竹箸を加工してマイナスドライバーにしました。
バッチリサイズです。(笑)
基本は発振器、測定機を使い調整しますが、今回は測定器無しで簡易調整します。
OSCコイルを弄ると受信周波数が変わるので周波数が変れば弄らない様にして
その他の3つで調整します。
この地域の場合、NHK2局と民放2局、合計4局の受信が可能ですが、
この中で一番感度が悪い放送局を選び受信します。
バーアンテナなのでラジオの向きを回転させると
放送局のアンテナ位置との関係で受信状態が変わりますので
良く受けるような向きで確認します。
一番受信状態が弱い放送局を受信している状態で
竹のドライバーでトランスのコアを回すと
音が大きくなったり小さくなったりしますので音が一番大きい場所で止めます。
残りのコアも同じ様に回してみて
一番音が大きく受信が良くなる場所で固定します。
これを2〜3回繰り返すと感度か良くなります。
4局すべて良い感じで受信できるようになりました。
単一3つの4.5V電池駆動 B級アンプの増幅で低消費電力
スピカーはアルニコマグネットのトランスドライブ方式
出てくる音は嫌味がなく濃い中音域で味わい深く聴きやすい!
音がよく飛んでくるので音量をあげない状態で
離れていてもよく聞こえる不思議な感じです。
調整は上手く出来ましたが
ベークライトの基板や部品を作った竹のドライバーでつついたりしてみると、
音が出たり止まったりする時がある...。
基板のハンダ割れがあると考えられますから
暇な時に外して再ハンダしてみたいと考えています。