NAKAMICHI DRAGON-CT
センターサーチシステムが、どんな構造で動作するのか
探ってみる事に...。
通常、このターンテーブルシートの上に
Nakamichiのロゴが入ったスタビライザーが載ります。
まぁ取りあえずカッコイイ!
マットを外すと、見るからに精度の高そうな強化ガラスのサブターンテーブルがあります。
外して見ると、裏側に円錐の針が付いています。
センタースピンドル部分が2重構造になっていて
ノック式ボールペンみたいな感じで上から押すと、
円錐の針が飛び出す構造になっている。
裏からの写真です。
スピンドルの針を受けるメインプラッター中心部分です。
つまり、
この上に乗っているガラスは、固定されていなくて載っているだけの構造なので、
スピンドルの上を押すことにより、円錐の針が飛び出て
メインプラッターの中心部分に開けられた円錐の穴に刺さり
ガラスのターンテーブルと、メインのターンテーブルの
中心位置がピタッと合うことになる。
レコード盤を載せてスピンドルの上をグッと押すと
この2枚のターンテーブルのセンターは取りあえずピタッと合っている状態になり
偏心しているレコードが載っていることになります。
ここで補正ボタンを押すと
補正量を測定する小さなアームが、フルオートで動き出し
レコード再内周のエンドレス溝をトレースし始めます。
しばらく測定し、
ターンテーブルが、ゆっくり動いて最後にメカブレーキでピタッと止まります。
ストロボスコープに隠れているピンが、
精密なサーボモーターによりゆっくり出てきて
ガラスのターンテーブルシートを押し始めます。
微妙にシートが押され、レコードのセンター穴のずれ分補正が完了します。
再びターンテーブルが回転し、再測定が始まります。
真円になったと判断した場合、測定用の小さなアームが元に戻りますが、
真円になっていないと判断した場合
もう一度同じ事を繰り返します。
この精度20ミクロンとか...。
このターンテーブルを止める位置センサーや
偏心量を測定する技術、高精度でピンをコントロールする技術に
Nakamichiのバカテクを感じます。
民生用の普及品にこの素晴らしい機構を低価格で付けてしまうところなど
凄さが分かる方なら鳥肌ものでしょう!
偏心調整量は写真の通り、(こんなに歪んでいるレコードもないと思うが)
DDモーター(軸)も立派です。
さて、音質はというと
偏心を合わせると、音像の定位がピタッと合い、凄く安定感のある感じになります。
アームも左右ふらふらする事が無くレコードの歪み、凹凸が無ければ
止まっているかのようです。
センターがあっていない場合は、
揺らぎがあるというか、音全体がふらつき揺らいでいる様な感じに聴こえます。
MICRO等の重量で回転のワウフラを無くす物や、
DD方式のサーボコントロールでワウフラを無くすものが一般的ですが、
いくら精度の高い回転をしていても、レコードが偏心していては
トータルとしての揺らぎ量が凄く大きくなってしまう、
その根源を解決するという発想が、ナカミチのこのセンター合わせ、
カセットデッキのアジマス合わせに似た理屈で面白いが
使用した感じでは、オモチャではなく、実用的で実に良くできている。
しかも、DD方式のモーター等も抜かりの無い設計で
最盛期のナカミチ絶好調の出来栄えだと思います。
実際、人気のYAMAHA GT−2000より音質は良いです。
分解能とレンジの広さで差が出ます。
中低域はGT−2000の方が厚いのですが、
DRAGON-CTの方が下まで再生する感じです。
全体的にフラットで癖が無く、繊細な高域、低域も良く下がります。
安いプレーヤーみたいに、出てくる音が軽かったり鈍かったりしていないので
かなり高いレベルのDDプレーヤーです。
エクスクルーシヴのP−3には音の質感や芳醇な感じ、高級感で負けますが、
見た目のカッコ良さ、動かして楽しい感じ、
大人が子どもに戻れる楽しさを味わえるアナログプレーヤーだと思います。
しばらく遊ばせていただきます。
2008年11月19日
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実はこのDRAGON-CT
Nakamichiで開発されたんじゃないんです。
Nakamichiがフジヤオーディオ(現:群馬NEC)に
作らせた物なんです。
だから、製造元はFujiya-Audio Ltd
販売元がNakamichiなんです。
何でそれを知ってるか・・・
私の父が設計した物だからです。
ちょっと虫食いになってしまいましたが
実家に青図があります。
そのうちブログで青図を公開しようかと思っております。
DRAGON−CTの修理必要なのですが、助けてもらえますか?
今年の5月、10年ほどの闘病の末、父が他界しました。
父の遺品を随時整理しています。
ブログは今やっていません。
いろいろ資料が出て来てます。
ある程度揃いましたらショップに持参しようと思います。