2023年11月29日

JBL075 メンテナンス

JBL075のメンテナンス依頼を請けました。

中古で購入されたものという事なので分解して確認いたしますと、
ダイヤフラムは1977製のオリジナル
振動板は、やや凸凹して表面に汚れと細かな腐食があり
入力ターミナルのビスやラグ、ホーン組み立て部分のビスに錆等が確認され
3,000Hz辺りで片方に歪みが確認できました。

ターミナルを外し、ラグが接触する接点部分とビスの錆を取り除きます。

DSC03525[1][1].jpg

ターミナルやラグを共締めするビス
左がメンテ済み、右がこれから
ナベネジの裏とラグが接触して音声信号を通すので
右側の黒くなっている部分を磨いて左側のようにします。
ネジの部分も入力ターミナルの中心で接触して音声信号が流れますので
ネジの部分もキレイにします。

DSC03530[1][1].jpg

取り付け枠と、ホーン本体を共締めするビス やや錆びています。
DSC03536[1][1].jpg

スーパーコンタクトオイルを塗布して錆を浮かせ拭い取ります。
コンタクトオイルは、導通改善のほか、防錆、潤滑、清浄効果も抜群です。

DSC03537[1][1].jpg

片側4本処理済み
DSC03538[1][1].jpg

磁気ギャップを確認すると、小さな鉄粉が入っていたので取り除きました。
磁気ギャップ1[1].jpg

磁気ギャップ2[1].jpg

ダイヤフラムは所々汚れと細かな錆、凸凹が数カ所確認できたので
クリーニングして、エクボ直しの要領で凸凹を修正します。
ダイヤフラムはアルミの薄い板なので、ちょっと触るだけでペコペコする感じですから
凸凹を修正する時の力加減に気を使います...。

振動板修正済み1[1].jpg

こちらも同じ様に処理しています。
振動板修正済み2[1].jpg

砲弾型のフェーズプラグを固定している真鍮ビスも磨きました。
マイナスの真鍮ビスも磨きました。[1].jpg

音を出しながら組み上げます。

発振器で3,000Hz~20,000Hzまでスイープさせて歪がないことを確認、

写真は、オシロスコープで波形を観察しています。
発振器で7,000Hzを出力(青色波形)右の075の上へ測定用マイクで音を拾い比べます(黄色波形)
右側の075
7000Hz-2[1].jpg

左側の075
7000Hz-1[1].jpg

10,000Hzで同じ様に写真を撮りました。
右075
1万Hz-2[1].jpg

左075
1万Hz-1[1].jpg

075は2,500Hzから上で使える広帯域なツイーターなので
3,000Hzから上へスイープさせて波形を見ましたが、とても綺麗でした。
(音が歪むと耳で聞いていてもサイン波の澄んだ感じに汚れ感が出て歪んでいると分かります。)

通常075は7,000Hz〜上で使用する場合が多いと思いますが、
075は10,000Hz前後で特性が凸凹うねり15,000Hz以上は伸びなくて降下します。

075は感度が110dBもある高能率ツイーターで
マグネットはアルニコ16,500ガウスの磁束密度
砲弾のフェーズプラグとホーンから見えるリング状の輻射は79mmの大型ですが、
指向性が強いのでホーンの正面を試聴位置へ向けて聴いた方が音が飛んできます。
他のツイーターでは味わうことが出来ない魅力的な高域が素敵です。

見た目はプロ用の2405とホーンの構造が違う感じしか無いのですが、
2405の方が指向性が広く15,000Hz以上の伸びが良いです。
ツイーターだけ入れ替えて聴いてみると、
075の方が濃い音に聞こえ2405は蛋白でクールな感じ
低域楽器のウッドベースは075の方が音が弾んでそれらしく聴こえるので面白いです。

メンテ後は隙間から見えるダイヤフラムに鉄粉や汚れが見られないので綺麗です。
しかし、しばらく使うと、汚れや鉄粉?の小さく黒い点が見えるようになるんですよね...。
上から見る[1].jpg

メンテナンスしますと
音が乾いた感じや、ギャンギャン、キンキン、耳障りの良くない感じが無くなります。

長年使い込んだと思われる古臭いシステムの出音で
ザラザラした派手な高域の075を見かけますが、
サイン波を入力してスイープさせると歪が確認できると思います。

完成したので返却します。
完成上から[1].jpg


posted by SoundJulia at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | スピーカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする